2017年04月17日

靴づくりの基本A〜ポストミシン【上糸編】

第2回目の“靴づくりの基本”は革用ミシンを取り上げたいと思います。
※第1回目“革の裁断編”はブログ右側カテゴリーの『靴づくりの基本』をご参照ください。

当教室へ通い始められる方の8〜9割の方が、
“ミシンは小学校の家庭科以来、触っていないんですけど・・・”

といった感じです。

日ごろ家庭でミシンを扱っている、という主婦層の方々は比較的早く慣れますが、そうでない方が最初に苦戦を強いられるところがこのミシンの扱いのようです。

ということで、ここから数回に分けてミシンのセッティングの仕方(上糸・下糸の正しい通し方)、実際縫う時の注意点等を写真を使ってご説明していきたいと思います。
長くなりますので、今回は【上糸編】ということで進めていきます。

※針の交換(仕上げ用・縫い割り用)やピッチの調整等は教室でお渡ししているプリントの説明で十分お分かりいただけると思いますのでここでは省略します。

当教室で、靴用のミシン(ポストミシン)としておいてあるのが、
ポストミシン上糸編@.jpg

こちらの『PW−6』(窓に向かって右側のポストミシン)

ポストミシン上糸編A.jpg

そして、PW−6の次のバージョンとして出た、
ポストミシン上糸編B.jpg

こちら『LPW−6』の2台です。(窓に向かって左側のポストミシン)

ポストミシン上糸編C.jpg

『靴用』と書きましたが、別に靴専用ということではありません。
縫物(主に革)の厚みが、〜2.5o以下の場合は、主にこちらの“ポストミシン”で縫っていただいてます。
ですので、『革小物』や『かばん・バッグ類』で差ほど厚みがない場合はこちらの方が扱いやすいので、こちらで縫うことをお勧めしている、ということです。
※3o以上の革・布等の場合は(主にかばん・バッグ類になりますが)、TE−5とTE−6bというミシンもありますので、こちらを使っていただいてます。詳しくは“鞄づくり、ときどきブログ”で掲載。

あと、上の2台の違いは殆どありませんが、写真の通り、若干のマイナーチェンジがされているという程度ですので、どちらもほぼ同じと思っていただいて構いません。

まず、“糸置き”に糸を置きます。
ポストミシン上糸編D.jpg

このミシンで扱う糸の太さは主に#20と#30がメインとなります。ごく稀に#8も使います。

ポストミシン上糸編E.jpg

糸が自然に出てくるように、まずはこの写真のように糸を通します。

ポストミシン上糸編F.jpg

その後、ミシン本体上にある“アンテナ”部分にこのように通します。

ポストミシン上糸編G.jpg

次の三つ穴の台も、こんな感じで・・・、上から下へ、そして捻りながら右から左へと3つの穴を通し・・・、

ポストミシン上糸編H.jpg

その後、ここが重要なポイントです。
家庭用等、どのミシンもそうですが、糸には必ずある程度の“テンション(張力)”を掛ける必要があります。
そのテンションを掛けるのがこの部分です。

2枚の銀色の皿のようなものが重なり合っていて、その間に糸をしっかりと食い込ませます。皿の手前には“渦巻バネ”が付いており、手前のネジ(黄色いマスキングテープが貼ってある部分)を回すことによって“テンション”を調節する、という仕組みです。

しっかりと糸をかませたら、アルファベットの“S”の字を描くように糸を通し、

ポストミシン上糸編I.jpg

この“糸とりバネ”と呼ばれる部分に糸を掛けます。
この部分の糸の通し方は写真と文章だけでは少し分かりにくいので、教室で実際にご覧いただきながら説明していきます。

ポストミシン上糸編J.jpg

その後は“天秤”に糸を掛け・・、

ポストミシン上糸編K.jpg

ゴミ採り綿のところに引っ掛け・・、

ポストミシン上糸編L.jpg

最後に“針棒糸掛け”に通して、上糸のセッティングは終了となります。

最近のコンピューター等が内蔵されている家庭用ミシンは、
“ここに糸を置いて、ここに引っ掛けるだけで誰でもすぐに使えますっ!”

なんていうものが多い中、やはり工業用でしかも革用のミシンですので多少複雑ではありますが、数回で慣れると思います。
ただ、どうしても皆さん“縫う”ということに専念しすぎて、最も需要なセッティングを軽視している傾向があるので、ここで詳しく書かせていただきました。
※初心者の方は教室での練習後に、またある程度慣れた方でも他の作業でミシンの扱いがしばらくぶり、といった方も、教室以外の場所で復習がてらザッと読んでいただければ、と思います。

正直、ステッチが綺麗か綺麗ではないか、というのは、上手い人もそうでない人も殆ど差はないと思います。
それよりも、正しくセッティングできているかどうかが、大きな失敗を防ぐ最大の方法だと思いますので、是非ご参考にしていただければ幸いです。


posted by tomo at 11:27| Comment(0) | 靴づくりの基本

2017年03月14日

靴づくりの基本@〜革の裁断編

初心者の方に靴を作っていただくために、教室では段階ごとに様々なご説明をし、実際にこちらでやって見せてから実践をしていただいてます。

覚えることも多いので、生徒さんにはノートをご用意いただきメモを取っていただいております。・・・が、自分も昔そうだったんですが、自分のノートなのに後から読み返してもイマイチ“???”なところが出てきたりします。

ということで、このブログで新たに“靴づくりの基本”というカテゴリを設けてみました。

目的は、教室で初めて行う作業を後で見返してみたり、復習してみたり、といったところでしょうか・・。
“よしっ!復習するぞっ!!”と、大上段に構え、わざわざノートを手元に用意してやるというのは大変でしょうから、電車での移動中とか、チョット暇を持て余した時や気が向いた時なんかに、スマホで写真や動画と合わせて気軽に見ていただければ・・・、と思っております。

ということで、第一回目は、“革の裁断編”です。

革を裁断する際には、必ず型紙を革の表面(銀面ともいいます。)に乗せ、文鎮などを使ってしっかりと固定します。

革の裁断@.jpg

そして、銀ペン(文字通り銀色のインクのペンで消しゴムで消せるインクです。)でしっかりと型紙の形に添わせて線を書き込みます。

革の裁断A.jpg

銀ペンはボールペンですので、ご覧の通り比較的線が太いことが分かります。(幅約1o程)
なので後述しますが、裁断の際には“線の内側(本体側)”に刃先を添わせて切ることが重要です。

次に革切り包丁です。
持ち方はこんな感じで・・・。

革の裁断B.jpg

少し手前に傾けて切っていきます。
革切り包丁は、主なものは刃幅が24o〜36oありますが、実際に革を切っている部分は手前の刃先だけです。

革の裁断C.jpg

刃先がテーブル水平面に対して15度〜30度位が理想的ですね。

革の裁断D.jpg

また正面から見た場合・・・、

革の裁断E.jpg

こんな感じで外側(右利きの場合右側)にやはり少し傾けて切るのが良いですね。

革の裁断F.jpg

なぜなら刃先(切れ刃といいます)は図のように少し斜めになっていますので、革の断面が垂直になるようにカットするためには、切れ刃が垂直になった方がいいからですね。

革の裁断G.jpg

裁断後は、こんな感じで切り落とされた側に銀ペンの線が残っていることが重要です。※本体側に銀ペンの線が残っているということは、約1o大きいサイズになっているということです。

一つのパーツだけでしたら1〜2oというのは誤差の範疇ですが、これが4〜5枚と貼り合わされていくことを考えると、かなりサイズが変わってきてしまいますので、お気を付けください。


ということで、短いですが動画をアップしてみました。



カーブ(曲線)などは、包丁の向きを変えるというよりも、革を回転させるようにし、常に自分の身体の方に包丁を引き寄せながら切進めるのがコツといえばコツですね。

posted by tomo at 13:40| Comment(0) | 靴づくりの基本