2008年11月29日

“靴づくり”に想うコト〜その2

知人からのオーダーで、8月に採寸し制作がスタートしたサンダル。

以前もブログに書きましたが、遠方、且つとってもお忙しい方で全く都合が合わず、その後のフィッティングが2ヶ月後・・・。

確か、“白をベースに夏らしい感じでっ晴れ

って、もう冬です!

お互い、秋口頃には“今シーズンはもう諦めた”モードに入っていたので、先方とも話し合いの末、来シーズンに向けのんびり行きましょう、と。


そこでいい機会なので、色々と試験的にというか、これまでの構想を試みてみることに・・・。

例のオパンケ靴、これまでアッパー(表革)のみのライナー(裏革)無しが殆どでした。
前の教室からの流れなんですが、やはりあまり難しくして、初めて靴を作る方に“難しい”と感じさせないように、と言う部分もあったのでは、と感じていた。

なので、当然、オパンケ(革底)とアッパーを縫うとき靴の内側に縫い目が出てしまう。手作りっぽさがでて、これはこれでとても良いと思う。

縫い目が当たったり、ということは無いようだが、ただ、人によっては、見た目スマートに、というかスッキリさせたいと思う人もいるんじゃないかと・・。また、“手触り”ならぬ“足ざわり”を考慮したり、耐久性を考えるとやはり側面のライナーもあったほうがいいかな、と・・。

しかし、ライナーを付け且つ縫い目を見せないとなると、掬い縫いでアッパーとライナーの間に針と糸を通していかなければならず、これが始めての方には少し難しい。

で、色々と考え、掬い縫いなしで、ライナーも白にまとめてスッキリとさせてできたのがこの靴。
白サンダル2.jpg
オパンケ革底〜アッパーへの縫い穴は打ちっぱなしなので余計な力もいらず、とっても簡単!

また、慣れてきた人には穴の角度を変え、掬い縫いでももちろんOKなので、どちらでも対応化!

オーダー主の“☆をモチーフにっぴかぴか(新しい)”というご要望も、細いベルト部に北斗七星を、踵部にはご自身の星座をいれてみました。

そういえばここ数週間で工房見学に5〜6人の方がいらっしゃったが、特に女性の方は、“難しくないですか?”とか“あまり力が無いので・・”といった心配をされる方が、とても多い。

やはり、“靴作り=難しい”、とか“靴作り=特別なこと”といった図式が、普通に出来上がってしまっているみたいだ。

前の工房の師匠は、よく生徒さんに“おにぎりを作れる手があれば誰でも靴は作れる”といっていました。

最初は“ふ〜ん、そんなもんなんだ〜”なんて軽く聞いていましたが、今にして思うとまさしく“言い得て妙”な表現だ。

おにぎりって上手い下手はともかく、誰でも出来ますよね。
上手い人のはきれいな三角形で口に入れると米がほぐれるような、絶妙な握り具合。
でもって下手な人のって形も不揃いで、なんだか硬くて・・、てやつです。

でも、下手な人も下手だと思ってあまりやらないだけで、隣に上手い人がいて、力の入れ具合とか手首のスナップとか、ちょっとしたアドヴァイスで上手く作れるものです。

靴も同じなんですよね。もちろんおにぎりみたいに、チャチャっと作れちゃうわけではないのですが、3ヶ月でミシンがけのコツとか釣り込みの力の入れ具合みたいなものを少しずつ手が覚えていくんです。

だから自分としては、最初はおにぎりを上手く作れるように、なるべく簡単な方法で、でもしっかりとした靴が出来るようにしていきたい。

で、“靴作り=難しくて、大変”といった今のイメージを少しずつ変えていって、誰もが“ちょっと靴でも作ってみようか”と思える、“靴作り”が特別なことではない、ということを広めていきたいと思う。

そして、そこから、靴だけでなく“身の回りのものを自分で作ってみる”という、昔は当たり前だったことを、再認識するきかっけが生まれて、“モノのアリガタミ”を実感できたならば、今の日本ももう少し豊かな暮らしが始められそうな気がする。

・・・なんて、今回はちょっとマジメに・・。


2008年11月25日

“靴づくり”に想うコト

靴作りを始めた頃は、作業工程や使う道具類が珍しくて、
その意味を理解しようと悩んだり、また道具やミシン等の機械類も、どうすれば上手く扱えるようになるか等・・、兎に角、いろんな人に教えを請いながら進めてきた。

で、それを覚えようと、色々と書き込んだノートが、計5冊。
ノート.jpg

ひと言で靴作りといっても、基本のスタイルとして、一枚甲のワンピース、外羽根、内羽根、モカシン等々・・、
いろんな形があるので、特にそのパターン(型紙)については覚えることが多い。

また底付けに関しても、ハンドソーンウェルトやオパンケ、アウトステッチ等の一連の流れがびっしりと・・。
最近浅草等で目にする【手縫い靴のテキスト】等でも書ききれていないような、細やかな、でも自分にしか分からないような、曖昧な表現や下手なイラストが連なる。

最初の頃はこのノートを、作業机でチラ見、チラ見をしながら進め、不具合があれば上書きしたりして・・

付着した接着剤を剥がした痕や、時にはコーヒー等がこぼれたりして、もうボロボロ・・・。

でも自分にとってはバイブルのようなもの。

なので以前は、作業中分からないことがあれば、師匠や諸先輩方に聞いたり、このバイブルを読み直したりしながら、解決してきた。


しかし、バイブルには出ていないことに直面することもある。


さて、どうしたものか・・・と、しばし悩み・・・、そして考える。

今までの経験から、頭の中でシュミレーションしてみる。

理屈からいけば、これでいいはず・・・、だが・・上手くいかない。

上手くいかなかった理由を考え、また暫く悩む・・・。

次の日、その方法にほんの少し訂正を加え、試してみる。
昨日より上手くできた。が、まだまだ・・・なんだかシックリこない・・・。

手の感覚で、そのシックリこない原因を探し、道具や材料に少し手を入れてみる。


そういったことを何回か繰り返しているうち、ふと
“あ、なんかいいかも・・”
と感じることがある。

そう感じたら、あとはそれをひたすら繰り返す。 

“手”が感じ取る、微妙なニュアンスに対して“手”が反応し、少しずつ自分のものになっていくような感覚・・・。

頭で考えて動かす、というよりも、“手”が勝手に反応する、といった感じ。


この方法が“正しい”方法かどうかは知らない。バイブルにはないから・・。

でも、この“手”が頭からの指示ではなく、自らの感覚で感じ取ったものは、強ち間違っていなかったりする。

靴作りを始めた頃、その師匠が“手は第二の脳”といっていた。そして“日々手は進化する”とも・・。そのことを実感する。

その“手”を使って、“第二の心臓”といわれる“足”のことを想いながら靴をつくる。


なんだか靴作りが、また楽しくなってきた。



だし針折れる.jpg
しかし、最後にだし針が折れる・・・。しかも根元から・・・。

ちょっと落ち込む・・。




2008年11月21日

寒くなりましたね。

“冬将軍、ついに到来!!”

なんていう文字が、ここ数日新聞やネットでも頻繁にではじめました。

毎年思うんですけど、“冬将軍”って・・、なんだか・・・。

なんか強そうで、もの凄い“力でねじ伏せてる”って語感が、より一層寒さを感じさせます。

でも、武田信玄ばりの厳つい老兵が、馬上で【冬!】っと力強く書かれた旗を掲げて、なんて姿を想像するのは私だけでしょうか・・。

ちょっとアゴ髭あたりが白く凍ってたりして・・・。


などと馬鹿なことを考えながら、今日も工房で作業作業・・。

これだけ冷え込むと、つい工房の暖房を入れたくなるのですが、靴作りの作業現場では極力控えている。

部屋全体が暖まってくると、慢性寝不足気味の自分はつい眠気にやられて、

“なんかやっちゃう”確率が高くなるんですよね〜。

貼り込み・折込代の切り落としなんかはまだ傷が浅いのでよしとして、仕上げ作業でグラインダー使ったり、包丁でヒールの切り回しをしてる時に、

“あっ・・・”

とかなっちゃった日にはもう・・・。

膝から崩れるくらい落ちちゃいます。

まあ、最近では余りありませんが、どうしてもトラウマというか、過去の失敗が恐怖感を思い起こさせるのか、空調暖房には抵抗を感じる今日この頃・・。

電気ヒーター.jpg

で、最近大活躍なのが、この古くて小っちゃい電気ヒーター君。多分20年以上前の製品で、自分がサラリーマン時代はもう速攻空調スイッチオン!だったので、ずっと押入れの奥で日の目を見なかった可哀想なやつ・・。

でも、足元から腰位までの、控えめな感じの温め具合が、なかなか良い感じ・・。昨年あたりから大抜擢で、今シーズンもフルに活躍してくれそう。

おかげで、今日もピリッと引き締まった感じで作業終了。

新宿朝焼け.jpg

夜明けの新宿の朝焼けも、キリッと冷え込んだ空気でいつもと違って引き締まっているよう。

今夜は、久々鍋かな〜。

まあ、一人鍋ですけど・・、なにか?


posted by tomo at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記